2022/06/04

ParallelComb と PitchShiftDelay

Uhhyou Plugins に 2 つの新しいプラグインを加えました。 Windows と Linux (Ubuntu) のバイナリは以下のリンク先からダウンロードして試すことができます。マニュアルとプリセットはまだできていません。

ParallelComb 0.1.0 (github.com) 
PitchShiftDelay 0.1.0 (github.com) 

PitchShiftDelay はベータ版です。次のバージョンではディレイ時間が長くなります。

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ParallelComb の音のサンプル (Google Drive)

ParallelComb は 1 つのディレイから異なる 4 つの時点の値を取り出してフィードバックするコムフィルタです。 Freeverb アルゴリズムなどで使われている初期反響音 (early reflection) のディレイと同じ構造です。書き込むバッファを 1 つに節約したことで、そのままだとフィードバックが強くかけられず面白い音は出ませんでした。そこでフィードバック経路にリミッタを挿して音が止まらないディレイへと変えることにしました。

リミッタのリリース時間 (Limiter R.) を 0 に近づけるとソフトクリッピング、 0 から離すとクリーンな音になります。クリーンな音にすると Highpass の値に近い周波数のサイン波になることがほとんどです。

フィードバック信号によるディレイ時間の変調 (Self Mod.) で変な歪みが出せます。 

不要なフィードバックを打ち切るためのゲートもついています。

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PitchShiftDelay の音のサンプル (Google Drive)

PitchShiftDelay はディレイを使った時間領域ピッチシフタです。 16 倍のオーバーサンプリングによってピッチシフタ特有の癖を多少抑えています。また内部のバッファ長をリアルタイムで変更できます (Delay Time パラメータ) 。フォルマント補正がないので、声に使うとヘリウムを吸ったときのような音になります。

LFO の波形は 2 ミリ秒ごとにリアルタイムで更新されます。内部的には 2 つのテーブルを用意してクロスフェードしています。そしてクロスフェードの終了時に片方のテーブルを更新することで波形を次々と書き換えています。この手法は FFT によるアンチエイリアシングを行っていない点を除けば Vital のオシレータと同じです。

ピッチシフトの範囲は 0 から 1000 倍です。

バージョン 0.1.0 のディレイ時間は 1 秒とやや短いので、次の版では 10 秒前後に増やす予定です。